ブログ名の「とんぼとかめ」について
「はじめに」と書いておきながら、まだ書いていないことがありました💦
ブログ名のことです。
「とんぼとかめ」と名付けた理由についても、書き記しておきたいと思います。
この写真は、亡夫の仏壇に一緒に飾っているフェティッシュです。
フェティッシュについて、知っていますか?
このサイトにも書かれているように、「〇〇フェチ」の対象物でもあるのですが、それ以前に、特別な力が宿っているとされる御守りのようなものでもあります。
そして、このフェティッシュは、ネイティブアメリカンが自分たちのために作った御守りなのです。
私がこのフェティッシュと出会ったのは、夫が亡くなった翌年の2013年12月にアメリカを旅した時のこと。
生前から仕事でもプライベートでも仲良くさせていただいていた、アメリカ在住の知人とともに、セドナを旅しました。
その帰り道、彼女が仕事で関わったネイティブアメリカンの研究者が本業の合間に開くお店に立ち寄ったのです。
研究者は、失われていくネイティブアメリカンの文化を守るために、このようなフェティッシュだけでなく、マスクや置物や敷物などを正当に評価し、適正な価格でほしい人にお分けする…というようなお店を開いていました。
研究の仕事だけで十分に生活できるので(むしろ普通の人より裕福なほど)、品物を買い叩いたり、高く売りつけたり、ということもありません。
要は、フェアトレードを研究の合間に行っている人でした。
そんな商売ではないようなお店なので、常にオープンしているとは限りません。でもその日は、ありがたいことに、知人が連絡したらお店を開けて下さったのです。
フェティッシュが並べられたガラスケースは、大きいものが2台と、高さのないケースが1〜2台あったでしょうか。
それらのケースの中に、フェティッシュはぎっしりと並んでいました。
モチーフはさまざま。熊や鷲、蛇、蛙、ウサギ、フクロウ……もっとありました。
大きさも、色(石)も、実にさまざまです。
でも私は、ある2つのフェティッシュに釘付けになりました。
それが、この写真の2つです。
何に惹かれたのか、それはモチーフがとんぼだったから。
そして、そのとんぼをかめが背負っている姿がどうしても気になって気になって、そこから離れられなくなってしまいました。
とんぼは、私にとっては非常に大切な生き物です。
それは、夫が亡くなった最初のお盆(新盆)の時。東京は7月がお盆なのですが、お寺で法要をした際、とても大きなとんぼが私たちのところにやってきたのです。
そこにいた全員が、「あ、哲ちゃんだ」と口々に言いました。
そのとんぼが亡くなった夫であると、そこにいた全員がそう「わかった」のです。
その時から、折に触れて、実は今も、とんぼが私のところにやってきます。
一周忌の後、たくさんの人に来ていただいて催した会の翌朝には、私の部屋の窓辺に飛んできました。まるで「お疲れ様!」と言いに来たようでした。
ある時には、小さなとんぼが乱舞する様子を目にしたこともあります。
またある時は、電車で目の前に座っていた外国人観光客のTシャツ柄がとんぼだったこともありました(笑)。
そんな経験を経てきたので、とんぼのフェティッシュが気になることは当然だったかもしれません。
でも、とんぼだけのフェティッシュもあったにも関わらず、私はとんぼを背負うかめも気になっていました。
しかも、この2つから1つをどうしても選べない。
フェティッシュは御守りです。
2つ持つものではありません。
だから、どちらか1つを選ばなければならない……。
あまりにも長く悩んでいたので、とうとう研究者から「どうかしたのか?」と声がかかりました。
私は知人に通訳を頼み、説明しました。
新盆の時にやってきたので、とんぼは亡き夫そのものだと思う、ということ。
そして、どうしてもそれを背負うかめが自分に思える、と。
しかも、写真左のとんぼは夫だが、自分は写真右のかめのような気がして選べない、2つを分けて持つことは考えられない、とも。
私が夫を亡くした妻であると聞いた研究者は、その瞬間に、ぶわっと涙を流してくださいました。
そして「そのフェティッシュは、2つとも、あなたのためのものだ」と言いました。
少し落ち着いた彼女は、研究者らしく説明をしてくれました。
このフェティッシュは、ネイティブアメリカン夫婦が二人で作っている。
この「二人で1つのフェティッシュを作る」というのは、そんなにあるものではないが、でもそう珍しくはない。
でも、モチーフが2つ重なったものは、そうはない。
だから、これはまさにあなたのためのものだと思う、と言ってくれたのです。
帰り際、あ、と思い、このモチーフの意味を研究者に尋ねました。
モチーフには意味があることは知っていたからです。
「とんぼは、『メッセンジャー』。しかも良い知らせを伝えに来てくれる。
そしてかめは、『運命を背負う者』」
研究者は短く、真剣な顔を私に向けてそう答えてくれました。
夫からの引き継ぎを自覚していた私は、なるほどそうか、と合点がいきました。
その時からこの2つのフェティッシュは、仏壇にあります。
夫からの引き継ぎを形にする。しかもそれは、夫との共同作業であると思っています。
だからこのブログの名前は、「とんぼとかめ」になりました。